Carmenのスペイン語こぼれ話
    
1. スペイン語圏      

   日本で発行されているたいていのテキストや辞書にはスペイン語圏の地図が掲載されている。 ずっと日本で暮らしてきた日本人でもスペイン語を母国語として使用する国々の数が多いことを知っている人は少なくない。 ではスペイン以外のスペイン語圏の国の名前を挙げてもらうと どうだろうか。 正解としてすぐに名前が出てくるのはメキシコやアルゼンチン。 フジモリ氏が大統領になって以来、ペルーも名前が挙がるようになった。 いわゆる中南米と呼ばれる地域がスペイン語圏であると理解している人たちが思いつく主だった国とは大体このあたりの国々ということらしい。

   では、スペイン語圏の国だとよく誤解される国は? そう、ブラジルだ。ポルトガル語圏ですよ、と私が言ってもあまりぴんと来ない人が多い。 仕方がないので、大航海時代の話を始める羽目になる。

   反対に、スペイン語圏の国だという認識を日本人に最も持たれにくいのが中米諸国。 キューバのような大国アメリカ合衆国に盾突いているがゆえに名高い(?)国は別として、メキシコより南に連なっている小国の知名度は残念ながら非常に低い。 スペイン語表示された国名を指して、さて、この国は日本では何と呼ばれている国でしょうかとたずねても首をかしげるばかりの人が多いのだ。 私が正解を言っても、そんな国がこの世に存在したのかと言わんばかりの反応をされる。いやはや...

    もっとも、私にしたってえらそうなことは言えない。中米諸国に一度も足を踏み入れたことがないからだ。 この国々に関する書籍ぐらいは多少持ってはいるものの、中米各国について思い浮かぶものの乏しいことよ。地方在住者にしてはそれなりに情報のアンテナ張りめぐらせて、日本で上映されるスペイン語圏の映画を見に映画館に足を運んでいるつもりだが、大体、中米の映画ってあまり日本に来ないのだよねぇ... それならば、一度は現地に足を運ぶべきだろう。 でも治安が悪いとか聞くと腰がひけてくるのだ。この地域をビジネスのなわばりにして始終飛び回っている私の大学の先輩も治安の悪さは認めている。 そういう話を聞くと重い腰を上げるには相当な決心が必要だ。 色彩感覚豊かな芸術品に心奪われる私にはグアテマラやパナマの先住民族が織る美しい織物やニカラグアの素朴画などは大いに魅力があるのだが。

    ついでに。 知っている人にはなんてことない知識だが、スペイン語でCentroame'rica とはメキシコ以南、つまり大陸の中では、Guatemala から Panama' までを指し、メキシコは Norteame'rica に属する。 メキシコがNAFTA(北米自由貿易協定)の加盟国なのはまさに North America の国だから。 でも日本ではメキシコは中南米の国というふうに通常認識されている。ややこしい話だ。 でも、どんな国にもそれぞれの個性があるもので、中米とか中南米、あるいは Centroame'rica などと常にひとまとめにしてしまうべきではないだろう。

    私は日本語教師をしていた経験があるので、スペイン語圏のほとんどの国の人とスペイン語で話したことがある。 だから、学生の母国に行ったことはなくても、国の名前を聞けばその学生の顔が思い浮かぶ。 留学生は時としてその国の代表のように思われる場合がなきにしもあらずなのだ。 いや、留学生でなくともそうだろう。 外国や外国人と関わることの多い日本人の一人としてこのことは常に心の片隅に留めておきたいものだ。

  ところでスペイン語を母国語とする国の人々で私がまだスペイン語で話したことがないのが、ホンジュラス人、エルサルバドル人、赤道ギニア人。やはり中米2国が入ってる。 日本にいないはずがないだろうが私はまだ遭遇していない。 スペインの歌手 Rosana のバックで歌っていた Las Hijas del Sol って確か赤道ギニア出身だったはず。 しゃべったからどうだってことはないのだが、旅行でスペイン語圏すべて制覇というのが難しいので、せめて言語的に制覇できないかと思っているわけ。 わが野望(?)の達成はいつのことか。

   Carmen

 

0. はじめに 

1. スペイン語圏

2. 辞書の話

3. 外来語あれこれ

4. スペイン語のテキスト

5. 性をめぐる話

6. スペイン語の映画

7. 動詞の森にご案内

8. もう一度やりなおしたい

9. セニョリータとお嬢様

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