美味しく飲むヒント

この夏、スペイン旅行を計画していらっしゃる方も多いのではないでしょうか。チャンスがあれば、ぜひ美味しいスペインワインを思う存分楽しんでくださいね。気取ったり、緊張したりする必要は全くないのですが、食事を自分で選べるタイプの旅行をされる方に、より美味しくワインを飲めるヒントになればと思い、今回の「ワインの話」を書いてみます。

■バールで。
お店に並んでいるワインの数を見れば、ワインに力を入れているかどうかが一目瞭然です。お目当ての銘柄があればそれを、お気に入りの産地があればそれを頼んでみましょう。ただし、地域によってそれぞれ特徴があるので、周りの人が頼んでいるものが一番のお勧めである可能性が高いと思います。

バールできゅっと一杯立ち飲みする分には、テーブルワインで50ペセタから。少し高級ワインになると100〜300ペセタの場合もありますが、本当に高級なワインになるとグラス売りはしてくれません。レストランでフルボトルを注文し、食事とともにゆっくり楽しんでください。


■レストランで。
◆注文しましょう。
案内された席につくと、メニューを持ってきてくれます。平日のお昼には定食がある場合もありますが、定食ではワインの銘柄は選べません。定食でない場合は、第一料理、第二料理から各人がひとつずつ選ぶか、第一料理はみんなで取り分けるようにいくつかまとめて選び、第二料理は各人がひとつずつ選ぶ、という形が一般的です。

メニューにワインリストが載っていなければ、「Lista de vino(リスタ・デ・ビノ)」を頼みましょう。お料理とは別リストになっているレストランがあります。


・赤ワイン:Vino tinto(ビノ・ティント)
Crianza(クリアンサ)とあれば熟成ワイン、Reserva(レセルバ)とあれば長期熟成ワインです。熟成が長くなるとまろやかな味わいになります。生産年度だけの場合や何も表記がない場合は早飲みタイプになります。肉料理をはじめ、煮込み料理、しっかりした味付けの魚料理に合います。

・ロゼワイン:Vino rosado(ビノ・ロサド)
2000年産の新しいものがお勧めです。シガレス産のロゼワインはClarete(クラレテ)と呼ばれます。比較的、どんなお料理にも合います。

・白ワイン:Vino blanco(ビノ・ブランコ)

クリアンサでない場合は、ロゼ同様新しいものがお勧めです。ガリシア地方のアルバリーニョ種は非常にエレガント。海産物にピッタリです。

何を選ぶかはお好み次第。特に気になる銘柄がなければ、Vino de la casa(ビノ・デ・ラ・カサ/ハウスワイン)を注文すると良いかもしれません。おそらく一番手軽な価格ですし、雰囲気のあるレストランや混んでいるところならハウスワインも美味しいものです。

複数のワインを注文したいときには、白(もしくはロゼ)ワイン→赤ワイン、軽いワイン→重いワイン、安いワイン→高いワイン、若いワイン→熟成したワイン、というあたりを基準にすると、どちらもより美味しく飲めると思います。例えば、リベラ・デル・ドゥエロのどっしりした赤ワインを飲んでしまうと、すっきりしたルエダの白ワインの良さがわからなくなってしまいがちなのです。

4〜5人くらいまでなら、1本が空きそうになったら次のワインを注文すると良いでしょう。適温のワインが楽しめます。1本のボトルは大体グラス7杯分ですので、ワインを飲む人数によって適当に注文してください。同じグラスで違う銘柄を飲むと味が混ざってしまうので、人数が多い場合でも、1回あたり同じ銘柄を複数注文した方が無難だと思います。最初に白ワインを注文して、次に赤ワインを頼んだ場合などにはグラスを替えてくれます。



◆ホスト・テイスティングしましょう。
年上の男性、もしくは、注文を仕切っている人にテイスティング役がまわってきます。もともとは中世のヨーロッパで戦争が多い頃、毒見役として行われていたのですが、現在は「コルク片をゲストに出さないため」「適温かどうか」「変質していないかどうか」を確かめるために行います。

普通は抜栓前のワインをお店の人が持ってくるので、頼んだものと合っているかどうかを確かめます。ワインの銘柄や年代、汚れがないかどうかを確かめたら、グラスに少し注いでもらい、「色→香り→味」の順番に見てください。ちょっと気取って堂々とやればサマになりますよ。(笑)

ワインが明らかに変質している場合(酢のような味がしたり、焦げたような香りが強いなど)以外は、基本的に他のワインに変更することはできません。変質がひどく気になる場合は、お店の人に伝え、同じ銘柄の他のボトルに変更してもらってください。

気に入らないからといって他の銘柄に変更することは一般的ではありません。まぁ、飲まなかったワインの分もお金を払えば変えてくれるのでしょうが・・・。



◆飲みましょう。

グラス3分の1くらいを目安に注ぐと、ワインの香りを楽しめます。特に赤ワインの場合は空気にふれることで、味わいが広がることが多いので、ゆっくり少なめに注ぐのがコツです。ところで日本のワインバーで、みんな揃ってグラスをくるくる回している姿を見たことがあるのですが、スペインのレストランではあまり見かけません。試飲会ではグラスに馴染ませるようにくるくるっと数回まわして香りや味の広がりを試しますが、食事のときは最初の一口の前にやるか、やらないか。余計なお世話ですが、日本人集団が食事中にグラスをやたらとくるくるさせていると多少奇異な印象を与えるかもしれません。(笑)

古い赤ワインは、ボトルの底にオリがたまっていることがあるので、そっと注いでください。飲んでも害はありませんが、口当たりの良いものではないので、最後の一口、二口は残します。習慣的に白ワインなどでも少し残しておしまいにするようです。



◆食後酒いろいろ。
基本的にワインは食事中だけで、デザートを注文した後には飲みません。お店の人がお皿とともに片付けてしまいます。もう少し飲みたいな、というときには、スパークリングワインを注文しても良いでしょう。Orujo(オルホ/葡萄の絞り粕から作った蒸留酒。イタリアのグラッパ、フランスのマールと同じ)や甘く味付けされたリキュール、アルコールなしの甘いリキュール、ブランデーなどを注文することもできます。


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ただし、これは、週末などに家族や友だちと集まって、おしゃれして出かけるような、ちょっとだけ高級なレストランでのお話です。庶民的なレストランで定食を頼んだ時についてくるワインなんかは、ガセオサ(甘い炭酸水)で割ったりしますし、そのときはグラスの3分の1なんて誰も気にしません。臨機応変に楽しんでいただければ、と思います。

「スペインなんて、なかなか行けないよ」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。でも、今回のレストランでの話はスペインに限ったことではなく、実は日本のレストランでも同じなんです。


それでは、楽しいお食事を!



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