今年の夏はいっぱい泣いて、いっぱい笑った。
海ばかり行っていたせいで、いつのまにかよく日焼けした。
いっぱい泣いたのは、子供の頃からの1番の幼なじみが重い病気になってしまったか ら。 夏の陽射しがきつかったころ、不安で息をするのも苦しいときがあった。 入院前
の彼女を連れ出しては海へ行った。 松の木の陰に腰をおろして、ひたすら海を見なが ら話をした。
頑張っている人に「頑張って」とは言えず、心が痛かった。
彼女の父は、定年退職以来、自給自足の田舎暮らしに目覚めたと、畑を耕しいろんな野菜を作るのが日課になっていた。 でも、
「お父さんが、畑に行かなくなっちゃったんだよ、バカだよね。
だから、『私は大丈夫だってば!』って、思いっきり叩いちゃったよ」
娘の病気を知り、畑に水撒きに行く気力さえ失ってしまったお父さん。
そんな父の姿を見ていられず父を激励した娘。
強いな、偉いなと思いながら目頭が熱くなった。
私が言えたことはただ、
「1人じゃないよ」
だけ。 そして、この山を越えたら一緒にスペインに行こう!と約束した。
入院した彼女は検査詰めの日々をおくり、ついに7時間強におよぶ手術を終えた。
でも、病気の進行具合は、手術からさらに2週間後に判るというものだった。
手術の後遺症や今後の不安、いろんな問題を抱える彼女に、私は平原綾香の 「Jupiter」を贈った。
鹿児島の海
♪ Every day I listen to my heart
ひとりじゃない
深い胸の奥で つながってる ♪
私はこの歌が大好きだ。
ホルストの惑星組曲「Jupiter(木星)」に歌詞がついたもの。 彼女はベッドで何度も何度も繰り返し聴いてくれたという。
結果が出たのはつい先日のこと。
手術は成功し、彼女の体の中にあった悪い部分は全て取り除くことができたという。
そして、病気の進行レベルも最悪ではなかった。
今後再発のリスクはあるが、とにかくひと山越えたことになる。
「Takaちゃん、食欲があって困るのよ〜。 ご飯が美味しい!」
退院したばかりの彼女から電話があった。
入院して痩せたかと思ったら1キロしか減ってなかったと。 でも、でかした!だ。
彼女はまた、再発防止の治療を受けるため入院する。
戦いは終わっていない。 でも、今回は笑って「頑張れ!」と送り出せる。
一緒にスペインへ行ける日も、遠くはないだろう。
彼女のお父さんも、再び畑に通いだした。
久しぶりの畑を前に呆然としたという。
「俺の畑が竹林になってたよ……」
自分の体をいたわってあげられるのは自分だけ。
皆さんも、体を大事にしてあげてね! |