ちょっと前のわたしたち

【No.230】7月5日 Maki * 【No.231】7月12日 かおる
【No.232】7月19日 むく * 【No.233】7月28日 Taka

No.233

7月28日 Taka(東京)

 嵐のような20日間が過ぎ去った。今朝ほど、マラガから来ていた2人の兄妹をのせた成田行きエアポートバスを見送ってきた。 久しぶりに一人で静かな部屋の中にいる。このまま3日間ぐらいは何もせずに休養をとりたい、そんな気分。 脱水してないセーターよりグッタリきているのである。

 彼らが日本に到着したのは7月8日。東京は梅雨の真っ只中だった。 蒸し暑さに参ってしまうんじゃと心配していたが、アンダルシアのマラガに比べたらずっと涼しいという。なんでも日本は風があるからいいと。 それにしても初めての日本は、彼らにとってあまりにも摩訶不思議だったようだ。 習慣も文化も、言葉も顔立ち、ファッションまで全てが違う。 トイレに行けばタンクの上から手洗い用の水が自動で流れ、冷蔵庫は勝手に氷を作ってくれる。 タクシーに乗るときも扉が自動で開閉し、通りを歩いてみればゴミは全く落ちておらず、雨も降っていないのに傘をさして歩く女性がいる。

 私が、かかってきた電話に「はい、○○です」と出ると、「日本人は何でかかってきた電話に、自分を名乗って出る必要があるのか? かけてきた人はTakaを知っていてかけてきているのだろう? 相手が名乗るのはあたりまえだけど、どうして受けるほうが名乗る必要があるのか」と。ある意味、新鮮な質問ではあるが私にだってわからない。 また、「何でみんな電車の中で寝ているのか?」「寝ていたはずの人たちがなんで降りる駅に着くとパッと立ち上がれるのか?」と。 彼らから見れば、摩訶不思議がいっぱいの日本だったようだ。

 それにしても今回は私も、楽しいこと以上に頭が痛いやらの連日だった。 彼らが来る前から、日本では一緒に旅行をしようと決めていたが、彼らは事前の予備知識をまるで持っていなかった。 私の実家のある鹿児島と、あとは長崎、広島、京都、奈良を漠然と知っていてそこには行きたいと言うだけで、そこにどんなものがあって何を見たいかなど何もない。 東京についても東京タワー以外のことは何も知らなかった。 また、ジャパンレイルパス(一定の期間中、JRは乗り放題になる外国人用のパス)だけは持っていたが、一人一日に使える金額は約2,500円しかなかった。 一応、これに対しても出発前に念を押して、それで日本を旅行するのは厳しいということは伝えておいたが、「予算は増やしたからたぶん大丈夫。 でも家族や友達、恋人たちにお土産を買って帰りたいの。 MP3 とかね」という無謀な告白を来日早々に受けた。

 東京滞在中はうちに泊まるのでお金は外出時の食事代ぐらいで済むにしろ、旅をはじめたら宿代だってかかる。
私が彼らの旅行に付き合えるのは1週間しかない。 その1週間で鹿児島くんだりまでJRで行っていたのでは、時間がもったいない。 1週間は、静岡・神戸・京都・奈良・大阪あたりで過ごすことにした。 その後、彼らが旅を続けたかったら2人で広島や長崎、鹿児島まで周ってもらうしかない。

 しかし、頭痛がつきまとった。 そんなさなか、前回ここで書いた私のコメントに対して、本当にありがたいことに数人の方たちから嬉しいお返事をいただいた。 行く先々で、ご自身の時間も費用も割いて旅のアテンドをしてくださるというのだ。 しかもご好意で。そのうえ、メールでやりとりをしているうちにその方々のお宅へ、私を含めた3人を泊めていただけるということになった。

 信じられない! 嬉しい! ありがたい! 予算のことはおいておいて、ただただ感謝大感激である。 そして、旅は7月12日から静岡2泊、神戸1泊、京都2泊、奈良(大阪)2泊の行程で始まった。 「Takaの行きたいところへ」「Takaの好きなように」「Takaが食べたいものを」と彼らはことあるごとに言った。 それでいて、行くと「入館料がかかるなら入らない」と引き返す。 メニューを頼むと「これにも魚が入っているのか……?」と、ブツブツ言う。 歩き始めると「今日はシエスタもとってないのに歩きっぱなしで疲れた!」と必ずバテル。

 いやぁ、大変な旅だった。 大変な20日間だった。 でも、一緒に笑ったり感動したこともいっぱいあった。 焼きそばやカレーが気に入って大量に買って帰った。 スペインに帰ったら、京都で二晩だけ着た浴衣やじんべいを着て、焼きそばとカレーで Fiesta de Japo'n を開くんだと嬉しそうに語った。 私も昨夜は一人、彼らがいなくなったら淋しくなるだろうな〜と物思いにふけった。 しかし今朝になったら、「カラスが鳴かなかったら起きれなかったよ! 起きてなかったらどうなったの?」とすごい剣幕で怒られた。当然、淋しい気分もまた吹っ飛んだ。

 ドタバタドタバタ。 慌しくも20日間が過ぎ、ホッと胸をなでおろしつつ呼吸を整えている。 冷蔵庫には、彼らが何を思ってか、日本に持ってきたリンゴやフルーツジュースなどがたくさん残っている。

 

 

No.232

7月19日 むく(マドリード)

 2012年のオリンピックがロンドンに決まってほっとしているところである。

 お客がいようがいまいが自分たちのおしゃべりが優先するお店がほとんど。人が待っていようがいまいが関係なく自分たちの休憩が優先するお役所などがはびこっているマドリード。 それが臆面もなく、自分の程度もわきまえず、オリンピックを招致しようという暴挙。 マドリードには渋滞はないと断言した首長が率いる都市であれば、それも仕方がないことなのかもしれない。

 オリンピック招致活動の一環ではないのかもしれないが、最近の道路工事の多さといったら迷惑この上ない。 大きな工事が同時期に行われており、渋滞や混雑を引き起こしている。もっと計画的にできないのだろうか。 もっとも、何事においても計画的という言葉からは程遠いマドリードであるからして当然の現象だとも思えるのであるが。

 話は変わって、二週間ほどベルギーに出張してきた。暑いと聞いていたので、半袖のシャツしか持参しなかった。 ブリュッセルに到着したら肌寒くて、長袖のシャツを持ってくればよかったと後悔した。 セーターを着て歩いている人もいるくらいである。 前日までは非常に暑かったとのことであった。

 月曜日に出張に行き、その週末になってようやく暖かくなった。 それでも気温は30度を超えていない。 5月から7月にかけてがベルギーの気候が一番良い時期である。 こんなに寒い日が続くのは珍しいくらいの異常気象だと同僚が言っていた。

 そういえばスペインも異常気象と言えるであろう。 一昨年の夏は非常に暑かった。 一転、昨年は夏の暑さはそれほどでもなかったし、雨が非常に多い一年だったという印象を持っている。 冬には厳しい寒さの日が続いた。 冬が来る前に植えた桜の木は芽が出かかっていたのだが、それ以上成長する気配もなく、結局冬に枝が凍ってしまい死んでしまったようである。 同時に植えた梨の幸水は順調に成長し、葉も一杯出て今後が楽しみである。

 ちょうどベルギーが暖かくなった頃からスペインでも暑くなってきたらしい。 帰宅時にちょうど居合わせた隣の人は、この2,3日は非常に暑かったと言っていた。 しかし、例年だとこの時期は気温が40度を超えても良い時期である。 7月半ばから8月の半ばにかけてがマドリードが一番暑くなる時期である。 それが今年はどうも暑さが中途半端な感じを受けている。 街中の温度計が撤去されつつあるらしく、また街に出かけることも少なくなったので車の温度計しか見ていないが、まだ一度も40度を超えたのを見ていない。

 この時期、街中の温度計で40度を越える数字を見ると非常に楽しくなるのである。 45度にでもなると非常に嬉しくなる。 その点、今年はまだ寂しい夏である。

 

 

No.231

7月12日 かおる(マドリード)

 7月6日、ラストスパートで非常に盛り上がりを見せていた、2012年のマドリード・オリンピック誘致作戦が失敗に終わった。

 個人的には最初はまったく興味もなく、また工事や物価高や弊害がでるなぁ、と否定的な面ばかり目に付いていたけれど、最後の盛り上がりを見ていると、マドリードに決まらなかったことに、残念だったような気もする。

 本当に残念だったのは、翌日のロンドンのテロだった。 これは、オリンピック開催決定に直接関係せず、先進国首脳会談「G8」に与えるダメージなのだろうけれど、タイミングとしては、お祭り騒ぎをぶち壊すのに十分な効果となった。

 思うに、世界に非寛容とテロ問題があふれていることに、いまさらながら、がっくりきてしまう。

 瑣末な例しかあげられないが、マドリードの落選にもそんな非寛容の要素がたくさん見られたのだ。

 何かというと、マドリードが落選したのは、アメリカ支持派の得票を得られなかったことが明白になっているから。

 選定方法は今回知ったのだが、1候補地ごとの落選の後、残った候補地に対しての投票がおこなわれる。ふたを開けてみると、最初のモスクワが落選した後の2回目の得票ではマドリードがダントツ。 が、ニューヨークが落ちた3回目の投票ではマドリードはただの1票も伸ばすことができず、落選した。

 これでニューヨークを支持していたアメリカ寄りの層が、マドリード(パリも得票があまり伸びていないが)を誰一人として選ばなかったことが明白になったわけだ。

 これは明らかに、新しいサパテロ政権がアメリカ追従の路線を放棄し、早々にイラクから撤退したことと無関係ではない。

 オリンピックのために準備したプロジェクトがよく出来ているかとか、ほんとうにオリンピックの開催のためによいか、などは二の次で国際関係における感情が左右するのだ。改めて子供のけんかみたいだ、と驚いた。

 ひどかったのは、この誘致失敗を機会に首相を攻撃する、野党だった。サパテロ首相がアメリカをもっと重要視していれば、マドリードは勝利したかもしれなかった、と。 ばかばかしい茶番のあげくの誘致落選に、さらに茶番の批判を重ねたのだから。

 野党といえ、首相の援護射撃も受けていたガジャルドン市長はこの泥仕合にきっぱりと判定を下した。 「今回のことで、責任のなすりつけあいは一切するな。 責任は一切自分が負う」と。 これで救われたような気持ちにはなったが、なんと、後味の悪い批判だったことか。

 今回マドリードの誘致作戦を見ていて、なかなか気持ちがよかったのは、市を引っ張る前与党で現野党のPPと現与党のPSOEはもとより左系のIUも、イデオロギーを超えて力をあわせていたことだったと思う。 それが少しづつ、反対派だった市民の感情も和らげていったような気もしている。

 少しの譲り合いをすることで協力が可能なのに、その少しの利益や個人的な感情に左右されることで不寛容が生まれ、対立が起こる。

 政治的な茶番を、タブロイド紙的なスキャンダルにみながらつくづく思った。

 少しの寛容。 みんなが持てば、少しはなにかが変わるのかも、しれない。

 

 

No.230

7月5日 Maki(横浜)

今、日本は梅雨の真っ最中だけど、今年の梅雨はちょっとおかしい。

 平年並みの時期に梅雨入りしたものの、最初は梅雨前線が全然本州にかからずカラ梅雨が続き、6月半ばには東京でも36度を越す真夏日の連続。 このまま梅雨明け?と思いきや、急に梅雨前線が“ジャンプ”して現れたとかで、新潟近辺では昨年に続き大雨洪水の被害が。

 一方で四国辺りでは全く降らず、給水制限とか夜間断水とかやってる。間に挟まれた関東地方では、降ったり止んだりのはっきりしない梅雨空。 太陽が出ていなくても、まとわりつくような湿気からは逃れられない。 どうせ暑いんだったら早く梅雨明けして、カラッと晴れた夏空になってほしい!と思う。 たぶん、梅雨が明けたら明けたで気が遠くなるほど暑いんだろうけど・・・。

 異常気象だとか温暖化だとか、そんな単語が当たり前のようになってしまったこの数年。 特に日本の夏の暑さといったら、温暖化どころか亜熱帯化といったほうが正しいくらいだ。 洋服を選ぶときも、いかに涼しく快適かということを必ず考えてしまう。

 キャミソール、素足にサンダル、半端丈のパンツなどなど、女性の肌見せファッション(要するに、露出度高い服ってことね)も、スペイン並とはいかなくても、かなり増えてきたと思う。 女性が薄着になる夏ほど痴漢の被害も増えるらしい。首都圏の私鉄のほとんどがこの春から女性専用車両を導入したこと、スペイン在住のみなさん知ってました?

 ただ、肌見せしてても日焼け対策はしてるってところがスペインとの違い。 実は私も、今年初めて日傘を買った。 昔はオバサンっぽいと思って敬遠してたけど、最近は若い女性でもかなり増えた。 使ってみたら、これが結構涼しいのだ。 新しい傘を晴れた日にも使おうとする子供のように、ちょっとウキウキしている。

 女性は洋服の選択肢が色々あるけど、男性は男性で大変だ。私は個人的には夏でもきちっとスーツを着こなしている男性がカッコイイと思うし(特に社外に出るときときとか、ね)、上着を脱いだときはやっぱり半袖でなく長袖のシャツのほうがカッコイイと思うのだけど、「半端じゃなく暑いんだぞー!」と男性の友人たちはみな文句を言っている。あ〜女性でよかった♪

 そんな中、今年特に話題になっているのが、政府閣僚まで率先して取り組んでいる“クールビズ”。 Cool Businessの略で、いわゆる“ノーネクタイ、ノー上着”などの涼しい服装。

 もともとはオフィスの冷房設定を弱めにして環境問題に取り組もうというのが目的のはずなんだけど、どうもファッション性ばかりに注目が集まっている。 というのも、単にネクタイを外しただけといった感じの“中途半端クールビズ”男性に対して「だらしない」「お洒落じゃない」といった声が多く、デパートの紳士服売り場、TVや雑誌、どこを見ても「お洒落なクールビズ実践!」みたいなコーナーが目に付くのだ。

 普通のYシャツでなくボタンダウンシャツがいい、とか、スーツの上着でなくこんなジャケットを合わせてみよう、とか・・・。 世の中の男性陣、がんばってお洒落で涼しいビジネスマンになってください。(笑)

 

 

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