10月にスペインへ行くことが決定した。 と、同時に仕事の後輩がだんな様と一緒にスペインへ行くことも決定した。 そのだんな様はとてもアウトドアが好きな方で、話によると山や湖がとくに好きだという。 このバケーションも本当ならカナダでカヌー三昧ってな生活に身を置くのが本望だったと思われるが、今回は2人でスペインに行くことになった。
でも、歴史があって、圧倒されるほどの景観が広がっているからといって、その町をその国を好きになるとは限らない。 人それぞれ。飾らない、気取らない気質のスペイン人が多いからといって、その地を好きになるかどうかもわからない。 私としては、少しでもスペインを身近に感じてくれたらいいなあ……、ただ、そんな思いが増す一方、これまで探検が主だった旅をしてきた彼に、観光だけでは満喫しきれないのでは?と、心配にもなっていた。
しかしある日、銀座のとあるスペインバールで飲んだくれている私のもとに、旅行代理店へ行った帰りすがらの彼らがやってきた。 そこで聞いた言葉は、「突然ですが、自転車でアンダルシアを回ることに決めました」である。 開口一番にそう言ったのは彼女。 よくよく話を聞いてみると、彼らはマドリードから入り、その後、いくつかの町を辿ってロンダに入る。 そしてそこからはチャリンコの旅をするというのだ。 チャリンコは日本から引っさげて持っていくらしい。 まぁ、チャリンコとは言っても、れっきとしたロードレーサー。
彼女が言った。
「ロンダからサンルカルまでロードレーサーでチャレンジします!」
「キャ〜〜〜!」
なんて素敵な旅なんでしょう! そう思えて仕方なかった。とはいえ、
「ヘルメットは要りますかねえ?」「当然!」
「辿り付けますかねえ?」「そのうちにはね」
そんな会話を繰り返していた。 でも、間違いなく彼らにとって、忘れられないスペインになるはず! 勝手にそう思えた。
電車は横線を網羅してないからバス、バスは停まりたいときに停まれないからレン
タカーという、なんとなく勝手に抱いていた偏見(私の)のなかで、彼らはチャリンコ。 おおお。 いいねいいね。 そうだそれだ! そんな旅もあったか、いいね〜。
前にキューバを訪れた際には、とある町の民間人に借りたチャリンコで、山をのぼったりした。 そのときはマウンテンバイクだったが、その感動といったらたまらないものがあった。 生まれて初めて観る景色のなかで、牛の鳴き声も鳥のさえずりも、とにかく新鮮に感じられた。 道路のでこぼこも暗闇に浮かぶ星も、そして朝陽も! なんなんだこれは? 誰にも遠慮することなく雄たけびを一人、狂ったようにあげた。
彼らがそうなるかどうかは、また別。 でも、素敵な旅の選択をしたことにはきっと違いはないと思えた。 誰もがそうそう経験したことのない至福のSalud(乾杯)!をあげるんだろうな、と思う。
もちろん、起伏の激しい一般道については話してもある。 道路の状況もそうそう良くはないかもしれないことも話し済みである。 しかし、彼らは、本当にいい国かもしれない国を、自分達の歩み方で巡ろうとしているのだ。
「どこで合流しようか!」と話しつつも、あまり道中の邪魔はしないでおこうと思う。 でも、辿りついた先では一緒にSalud!で祝いたいな、そう思う。
|