ちょっと前のわたしたち

【No.196】9月6日 むく * 【No.197】9月13日 かおる
【No.198】9月20日 Taka * 【No.199】9月28日 Meche


 

No.199
9月28日 Meche(京都)

 毛玉で私も痩せる秋・・・。

 暦が秋になったらえらいもんで、ちゃ〜んとそれなりに涼しくなってきました。 寒いのは平気、 だってどんどん服を着ればいいから。けど、 脱いでも脱いでも暑くって、気が付けば真っ裸ってな悲劇が起きないとも限んない暑い季節は苦手。
  だから秋の到来はホントにうれしい。 でも、年がら年中毛皮をまとってる私の同居人、猫のチャッキーにとっては大変な季節。

 夏毛が抜けて防寒用の毛に生え変わるもんだから、毎日ペロペロとグルーミングは欠かせない。
  ところが、その舐め取った毛が今彼女を苦しめている。 毛玉となって胃に溜まっちゃってるのだ。
 “あ〜スッキリ、るんるん〜”とおトイレでさよならできればいいんだけど、さすがにたくさん毛の抜けるこの時期は、そうはいかなかったみたい。 朝も昼も夜中も“クケーッ、ケケーッ”と苦しげに吐いている。 お腹をさすったり背中をトントンしてあげるのだけど、一向に毛玉の出る気配は無い・・・。
 で、家中にげろを吐いても毛玉の出ない彼女は、見る見る間に痩せて、とうとう何も食べなくなってしまった。

 心配になった私は彼女を連れてお医者さんへと向かった。
  いつもはおとなしくて咬んだり引っかいたりしないチャッキー。 でも、病院の雰囲気に恐怖を感じた彼女は、いきなり私の顔面に向かって一発猫パンチを繰り出した。 見事にヒット!  診察中は痛かったのか、うなり声をあげて噛み付いた。 これまた見事にヒット!!
  点滴と注射を受ける彼女を“大丈夫だよ、すぐ良くなるからね”と励ますと、“ニャンニャン”と応える。 かわいい・・・。
とその様子を見ていたお医者さんが微笑みながら私にティッシュを渡してこう言った。 「鼻の横から血が出てますよ」見るとさっき猫パンチがヒットしたところから出血!!!
  う〜っ、怒っちゃいけない、たとえ嫁入り前の身体だとしても相手は病人なんだから、ここはがまんがまん・・・。

 診療費の高さと「明日も来て下さいね」の言葉に、鼻の横から血を出しながら一瞬目からも違うものを流しそうになった私・・・。
  でも大丈夫! 大切なあなたのためだもの。 早く元気になってね。



No.198
9月20日 Taka(東京)

 10月にスペインへ行くことが決定した。 と、同時に仕事の後輩がだんな様と一緒にスペインへ行くことも決定した。 そのだんな様はとてもアウトドアが好きな方で、話によると山や湖がとくに好きだという。 このバケーションも本当ならカナダでカヌー三昧ってな生活に身を置くのが本望だったと思われるが、今回は2人でスペインに行くことになった。

 でも、歴史があって、圧倒されるほどの景観が広がっているからといって、その町をその国を好きになるとは限らない。 人それぞれ。飾らない、気取らない気質のスペイン人が多いからといって、その地を好きになるかどうかもわからない。 私としては、少しでもスペインを身近に感じてくれたらいいなあ……、ただ、そんな思いが増す一方、これまで探検が主だった旅をしてきた彼に、観光だけでは満喫しきれないのでは?と、心配にもなっていた。

 しかしある日、銀座のとあるスペインバールで飲んだくれている私のもとに、旅行代理店へ行った帰りすがらの彼らがやってきた。 そこで聞いた言葉は、「突然ですが、自転車でアンダルシアを回ることに決めました」である。 開口一番にそう言ったのは彼女。 よくよく話を聞いてみると、彼らはマドリードから入り、その後、いくつかの町を辿ってロンダに入る。 そしてそこからはチャリンコの旅をするというのだ。 チャリンコは日本から引っさげて持っていくらしい。 まぁ、チャリンコとは言っても、れっきとしたロードレーサー。

 彼女が言った。
「ロンダからサンルカルまでロードレーサーでチャレンジします!」
「キャ〜〜〜!」
  なんて素敵な旅なんでしょう! そう思えて仕方なかった。とはいえ、
  「ヘルメットは要りますかねえ?」「当然!」
  「辿り付けますかねえ?」「そのうちにはね」
そんな会話を繰り返していた。 でも、間違いなく彼らにとって、忘れられないスペインになるはず! 勝手にそう思えた。

 電車は横線を網羅してないからバス、バスは停まりたいときに停まれないからレン
タカーという、なんとなく勝手に抱いていた偏見(私の)のなかで、彼らはチャリンコ。 おおお。 いいねいいね。 そうだそれだ! そんな旅もあったか、いいね〜。

 前にキューバを訪れた際には、とある町の民間人に借りたチャリンコで、山をのぼったりした。 そのときはマウンテンバイクだったが、その感動といったらたまらないものがあった。 生まれて初めて観る景色のなかで、牛の鳴き声も鳥のさえずりも、とにかく新鮮に感じられた。 道路のでこぼこも暗闇に浮かぶ星も、そして朝陽も! なんなんだこれは? 誰にも遠慮することなく雄たけびを一人、狂ったようにあげた。

 彼らがそうなるかどうかは、また別。 でも、素敵な旅の選択をしたことにはきっと違いはないと思えた。 誰もがそうそう経験したことのない至福のSalud(乾杯)!をあげるんだろうな、と思う。

 もちろん、起伏の激しい一般道については話してもある。 道路の状況もそうそう良くはないかもしれないことも話し済みである。 しかし、彼らは、本当にいい国かもしれない国を、自分達の歩み方で巡ろうとしているのだ。

「どこで合流しようか!」と話しつつも、あまり道中の邪魔はしないでおこうと思う。 でも、辿りついた先では一緒にSalud!で祝いたいな、そう思う。



No.197
9月13日 かおる(マドリード)

 「あー、ヨーロッパだ・・・」スペインから他の欧州の国を訪れたときに思うこと。

 先日から仕事がらみで立て続けでドイツとフランスへ行く機会があった。 どちらも、落ち着いたヨーロッパの町並み。観光客の数もマドリードの比ではない。 インターナショナル。 街には緑が多く、郊外にも目に優しい光景が広がる。 建物もマドリードのそれらとは違って、瀟洒(しょうしゃ)で気品に満ちている(ような気がする)。

 そんな落ち着いた町や自然の中で生まれるのか、人々の対応も柔らかく、丁重、かつにこやか。 カフェに入るとちょっと高い声で「ボンジュール、マダーム」。 スペインのように、女性でも太く低い声でぶっきらぼうに響く「オラ、ケ・キエレ(こんにちは。なににしますか?)」とは大違い。 こちらもちょっと気取って「ボンジュール」とか「ボンソワー」とかやってみる。 うーん、いい気分。

 ところが、先日訪れたパリ、私にとっては初めてではないので甘く見ていたが、けっこう落とし穴があることに気づいたのだ。

 空港から街へ入る列車のチケットを買うのに1時間近くの長蛇の列。 自動販売機はフランス人の持つキャッシュカードしか使えない。(もしくは8ユーロを小銭で持っている人しか利用できない。 しかも両替できるカフェもなにもない)これって、もう少し利便性を考えてほしいよな。

 街を歩いて、少し休憩、トイレ、と思ってカフェに入ってもスペイン経済状況の身には目玉が飛び出るほど高い。 しかもちょっと小腹がすいたな、と思ってビールなんかを頼んでみてもおつまみ(タパ)はもちろんのこと、出てこない。

 メトロに乗ってみても、施設が古いのと、できるだけコンパクトに収めなくてはならない理由があるのだろうが、狭いし、薄汚い。 しかも滞在中は暑い日が続いたため、メトロの中は蒸し風呂状態。もちろん冷房なんてない。 マドリードのメトロは近代的できれい。しかもほとんどに冷暖房完備。

 以前に訪れたときはこんなにマドリードと比較することなんてなかったのにな、とマドリード化している自分に驚く。 そして、仕事で行った見本市の視察。スペインから出展している知り合いの顔を見つけた。 「調子はどう?」と聞く私に彼は「まぁまぁだね。 なによりも、ここじゃ、相手のほとんどがフランス人だからね。 ねちっこいし、すごく疲れる。」とウインクをしてみせる。 フランスの方には失礼だが、ここでどちらも爆笑。

 そうして帰路に立つ。 スペインをよく行き来している方なら大きく頷いていただけると思うが、空港内でスペインへの便が出るゲートは、そこはもうスペインになっているのだ。 なにやら騒がしいし、なにか、どこかが「スペインの雰囲気」をかもし出しているのだ。 いつもスペイン行きのゲート付近に着いただけでなんだかスペインに帰ってきたような気がするから不思議だ。 ヨーロッパの中で野暮ったくて田舎者であっても、なんだかほっとする、そんなスペインにずいぶん馴染んでいる自分を欧州のほかの国へ行く度に再認識することの一つ、かも。



No.196
9月6日 むく(マドリード)

 昨年の一時帰国時に買ってきておいた大根、きゅうり、ミニトマトの種を約三ヶ月ほど前に庭に植えた。 大根の種はあいにく鳥に食べられたらしいが、きゅうりとトマトはある程度成長し、芽が出てきた。 その後二週間ほど日本に一時帰国した。 その時点ではまだ収穫には早かった。

日本から帰ってきて恐る恐る見てみると驚くほど成長していた。あわてて近所のJardineria(園芸店)に行き、苗の添え木になるものを買ってきてミニトマトの支えにした。きゅうりはと見るとすでに実がなっているではないか。 しばらくして収穫し、日本のきゅうりを味わった。それから連日のようにきゅうりがなり、いまだに市場できゅうりは買わずにすんでいる。 ミニトマトの方も連日のように赤い実がなっている。

マドリードで見かけるきゅうりはPepinoと呼ばれているが皮が厚くて日本のきゅうりのようなしなやかさはない。この夏は連日、日本のきゅうりを味わうことが出来た。 また、最近のトマトは匂いも味も薄いのが主流である。個人的には昔露地で栽培していたトマトの方が好きである。 庭で獲れたミニトマトは匂いも昔のままで思わずなっている実をそのまま口に入れてしまう。

きゅうりはだんだん実のなる勢いがなくなっており、そろそろ秋かなと感じさせてくれる。 夜も涼しくなってきた。 8月にはがらがらだった路上に、駐車している車の数も以前と同じに戻った。 夕方の帰宅時のラッシュも元通りになり、こうして夏が終わっていく。 マドリードのあの照りつけるような夏が大好きな自分としては一抹の寂しさを感じさせてくれる今日このごろである。

 

 

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