ちょっと前のわたしたち

【No.97】8月5日 Sara * 【No.98】8月12日 むく
【No.99】8月19日 Taka * 【No.100】8月27日 かおる

No.100
8月27日 かおる(マドリード)

 今年ももう8月も終わり。夏が去っていく。
 9月が始まると早速始まる見本市などは、もうすっかりクリスマス商戦。「気の早いこと・・」なんて言っていられなくって、実際、仕事では火車のように追いまくられることになるのだ。で、あっという間に、「今年ももうすぐ終わりねぇ」ということになる。

 「スペインでは時間の流れがゆっくり」と思われる方もいるだろうが、実際の都会の仕事では同じ。悔しいことに、同じなのだ。

 先日、こんな時間の流れを忘れるような休暇を、久々に取った。とはいえ、スペインの大型バケーションからみると妙にケチくさい、たかが4泊5日。でも、基本は「なにもしない」。
 ほとんど電気も必要なく、テレビや電話も必要のない山の小さな村の世界で、気のあった友人たち、ペットの犬たちといっしょに食事をとり、体をいじめるほどでなく、適度に動かし、おいしい空気を味わった。
 この山の家の生活は、ここ数年ですごく楽しかった出来事のひとつに数えてもいい。

 帰ってくると、なんだか夏が燃え尽きたような、脱力したような気分になった。そして翌日、所用でマドリードの中心部の喧騒に出て行った私は、めまいがしそうな気分に襲われた。こんなにお店がある。みんなが忙しく歩いている。昨日までの、「ほとんどなにも必要のない生活」とのギャップ。山の上にいるときは、これが本当の生活感だな、と思っていたが、すぐにまた都会のモノと、時間の流れに埋もれていく私がいるのだろうな、と悲しくもなった。日本の都会と比較すると、「そんな、甘い」と思われるだろうけれど、でも激しいギャップを感じたのだ。

 だからといって、仕事やマドリードの町が嫌いなわけではない。自分が心地よい、と思った生活と現実の生活にギャップがあっても、結局はないものねだりの感傷なのだろうな、とも思う。
 もうすぐ9月。気を取り直し、また楽しい休暇が迎えられるように、大事に過ごそう。そうして、本当に自分に満足のいく生活を求めていきたい。

 

No.99
8月19日 Taka(東京)

 悲しいことがあった。私は34歳だ。先日、とある会議に出席していたら複数の男性陣から、「ええ? いままで年上だと思っていましたが…」と言われてしまった。彼らの歳は30代後半と40代前半。ひきつけを起こしそうな出来事だった。冷静を保ちつつトイレに行って鏡の前でフニャっとなってしまった。しかめっ面がいけないのか? 目つきが怖いのか? やばい、私は何歳なのだ? ことあるごとにセニョリ〜タとかチ〜カなどと呼んでくれたスペインへ逃亡したい気持ちになった。

 スペインへはちょうど1年前に旅行したきり行っていない。ちょうどその1年前に仕事の大半を辞めて以来、自分にとって仕事って何だろう? と考えてきた。やみくもにやっても仕方がない。なんなんだろう? 好きじゃないかもしれない…。そう思い始めたら熱意も気力も失せてしまった。同時に、スペインへの熱意も失せ果ててしまっていた。友達も親も言った。「アナタらしくない」私はずっと考えていた。「私らしいって何だろう?」出口のない迷宮に迷い込んだ気分だった。

 しかし、最近になって仕事に対する思いがようやくわかってきた。やっぱ好きじゃん! おお、やっぱすごい好きだぞー! 自分の仕事をすごく好きだと思えるのは久しぶりのことだった。とはいえ、1年前までと同じことを繰り返したのでは何の進歩もない。今までとは違う次のステージに進もう。そう心に決めてこの数ヶ月は準備に取りかかってきた。そしてようやく、そのスタイルが確立されてきた。そうなると皆が喜んでくれた。「やっと自分らしさを取り戻したね」と。でも、私には相変わらず私らしさというものがわからない。しかし、好きなことが改めて見えてきたおかげで今まで見えなかった道の先が見えてきた。目標が見えた。いま何をすればいいのかが鮮明にわかるようになってきた。それはとても嬉しいことだと感じている。

 仕事に対する気持ちが定まってくると遠ざかっていたスペイン熱も蘇ってきた。やっぱ好きじゃん! おお、すっごい行きたいぞスペイン! 激しくそう思うようになった。我ながら、どうしてこんなに自分を見失ってしまうのだろう、バカかあんたは? と思う。でもきっと、迷っている時間というのは私に必要なんだろうと思えた。今は仕事が忙しすぎて旅行はできない。でも、好きな気持ちをいっぱい貯めこんで次に行けるときにはドカンと思い切りスペインへ浸ろう、そう思っている。

 

No.98
8月12日 むく(マドリード)

 もう8月も中旬にさしかかってしまった。益々月日が流れるのが早く感じられるのは年のせいか、単なる気のせいか。思えば学生時代は夏休みが来るのが待ち遠しかった。一年を今の倍以上の長さに感じていたような気がする。

 という前置きはさておき、

 最近異常に涼しい日が続いている。例年だと7月の中旬から8月の中旬まで、日中40度を越える日が続くのがマドリードの夏であるが、今年は街の温度計が40度以上を指しているのを見たのはほんの数回である。あの焼け付くようなマドリードの夏の暑さが大好きな人間としてはいささか物足りない日が続いている。

 スペインに赴任してきた当初、8月になると街は閑散としていた。最近は8月でも人や車の数がそれほど減らなくなっていたのだが、今年は本当に閑散としている。近所の行きつけのバールも夏季休業、日曜日も営業していたおいしいコーヒーを飲ませてくれるカフェテリアも8月末まで休業、メルカドに行っても多くの店が休業。街全体が活動停止状態である。

 大きな案件の決定は9月以降になされる事がほとんどだし、日常の問い合わせも減っている。スペイン人の従業員も交代で休みを取っている。午後になると電話の数も減ってこちらも閑散としてしまう。かといって会社を閉めるわけにはいかないのが辛いところではある。そのような時には早めに帰宅するに限る。普段は帰宅が早いとなんとなく後ろめたい気持ちになるのだが、夏の間だけはのんびりと仕事をさせてもらうのも悪いものではない。

 

No.97
8月5日 Sara(マドリード)

  “ASEREJEな夏”(アセレへな夏)

 最近の私は何をしているかというと、何もしていない。 といっても、時間的にはなんだか忙しくて、ストップしてる時がないのだけれど、逆に頭は“ASEREJE”アセレへ。ASEREJEはなにかというと、今、こちらスペインでとても流行っている夏向けの軽い曲で、馬鹿っぽいけどノリが良くて、知らず知らずに頭に残ってしまう曲。振り付けもだらっとしてて、良い感じ。Las Ketchup(ケチュ:ケチャップ)という女3人姉妹のグループ。何も考えなくていいです〜〜〜だって夏だもん。という気にさせる。

 今年は、6月に踊る機会があったので、新しい曲作りもして、体力的にも、精神的にも入り込み過ぎたようだ。終わってから、すーっと憑き物がとれたようになった。悪くないのだけど、次回は違う入り込みをしたいものだ。踊りに関しても、いろいろな面に関しても、新たにやらなきゃいけないこと、いろいろ課題はあるので、今、それは始めているし、続けている。体は常に動かす様にしている。フットワークは軽く。でも、頭の中は、車のギアーで言えば、ニュートラルに。それが“ASEREJE”。

 ASEREJEな夏。夏を楽しんじゃいましょう。

 あれしなきゃ、これしなきゃ。人によってキャパは違うと思うけど、私は配線こげちゃいました。なので、配線しなおして、今は、夏を楽しみたい自分を可愛がることにしました。ははは(笑)

 フラメンコの公演見ても、フラメンコの人々と話しても一歩離れてみれるから、今はとても楽。落ちついて細かいところがまた見えてきたかなぁ。

 ということで、北に、南に、東に、西に。動き回っている私です。昼は踊り、夜は飲む。歌う。笑う。食べる!セルベッサ(ビール)が美味しい。町にはGuapaにして出かけよう!
 ASEREJEなさりーたの夏は、あと1ヶ月!さあ!みんなも乗り遅れないで!良い夏を!

Sara Ayako Ishikawa

 

 
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