ちょっと前のわたしたち

【No.59】11月5日(ナオミ) * 【No.60】11月12日(Maki)
【No.61】11月19日(Meche) * 【No.62】11月26日(Norie)

No.62
11月26日 Norie(バリャドリード)

 バリャドリードはすっかり冬。昼間でも吐く息が白い日もある。我が家には先日ようやく天然ガスが入ったので、毎朝のストーブつけ作業からは解放されたし、暖房の効き方も全然違うので、去年までよりずいぶん楽に過ごしている。

 それでも近所では、まだ薪ストーブの暖房を使っている家が多いので、煙突から白い煙がもくもく上がり、道行く人もしっかり着込んでいる。雲ひとつない晴天なのに、小雪が舞っていることもあるし、朝晩の道路は霧が深くて、フォグランプだけが頼り、なんてこともある。

 街路樹の枝はすっかり切り落とされ、急に視界が開けてしまい、わたしなんかはそこから寒さが入ってくるような気さえしてしまって、外出すら本当は億劫だ。そんな寒さの中でも子どもは元気いっぱいで、道につんである長いその枝を公園に運び込んでなにやら遊んでいる。

 ちょっとこっちに来て〜。とその子が呼ぶので公園まで入ってみたら長い枝を砂場に差し込んで、わたしに身長を測れ!とおっしゃる。疑問に思いつつ、ココかな?と枝に並んで頭をつけて、そのへんを指差すと満足気にうなずく。次は彼女!と一緒にいたわたしの友人まで公園で身長測定。あんたはどうよ?とわたしが言うと、ボクここ、と身長測定。次は別の子。ようやく立ってる赤ちゃんまで。

 あいつが一番ちびだ。半分しかない!と大喜びで身長測定大会が続く。

 寒がりのわたしたちは、子どもたちを残して、さっさと公園前のバールに入り込んでビール。中では顔見知りのおじさんたちがテレビを見てたり、トランプをしてたり。そのバールで、好きな番号を予約しておいて毎週200ペセタずつかけ、その週の国民宝くじの下二桁とあってれば、生ハム1本とチーズ、チョリソがもらえる、というクジに参加しているのだけど、「あんた、当たったから火曜日取りにおいでよ。」とバールの主人に言われた。当たったのは2年間で2回目。ラッキー。

 平和な日々だなぁ、と思う。寒いけど。

 

No.61
11月19日 Meche(京都)

 あんにょん!(ハングルでハイ!の意味)

 韓国のソウルに行ってきました。
 訪れるのはこれで3回目。でも今回は今までの旅行とはちょっと違う。母と2人、留学中の妹を初めて訪ねる4泊5日。

 久しぶりの海外旅行だからねっと私は飛行機の中で爪を磨き、さっき免税店で購入したばっかりのマニキュアを塗る。真っ赤に染まった爪がバカンス(短いけどね)気分を盛り上げだす頃、シートベルト着用ランプが点灯。うそっ、もう着陸!? スペインまでの長〜い機内生活になれている私には、なんだか物足りない2時間弱の飛行機の旅。

 ゲートを出てお迎えの妹を捜す私たちの目に、すっかり韓国娘に変身した妹の姿が飛び込んでくる。周りの韓国人たちが流暢な日本語で話す彼女を、少し不思議そうに見ている。留学生活4年目、たくましく成長した妹が、お姉ちゃんにはちょっとまぶしい。

 妹のアパートに荷物を置いて、さっそくお出掛け。韓国旅行といえば、お楽しみはやっぱり食事!
 アヒル、エイ(マンタ)、アンコウなどなど、今回はちょっと面白いものを食べに行った。もちろんどれもとっても美味しくて、母などは嬉しさのあまり、隣の席に座る見知らぬ韓国人のご一行に「マシソヨ〜(美味しい)」と微笑みかけていた。

 さて、そんな美味しい旅行中でも、私に流れるラテンの血はその国のラテンに引き寄せられる。ネオンチカチカの夜ともなれば、それはなおさら。

 「仕事のためにちょっとソウルのラテンシーンを取材してくるね。」などと、適当なのに何故か説得力のある素敵な言い訳を母に残し、ラテンディスコにスキップで突入する私!サルサ、メレンゲ、ポップスと、なんでもござれのその場所では、オタクっぽいお兄ちゃんや、珍しくぽっちゃりしたソウル娘、そして七三分けのサラリーマンと、ほんとに色んなタイプの人がラテン人たちと楽しそうに踊りまくっている。みんなリズム感がよくってすごく上手!日本のように不思議なリズムで踊ってる人はどこにもいない。う〜ん、同じアジアでもこんなに違うんだなぁ、と感心しながら私も参加。燃料のテキーラをあおりながら、汚名挽回とばかりに1人がんばる日本人(力不足)!
 あぁ、とっても素敵なソウル・ラテンナイト!

 友人に頼まれたCDを買うために向かったショップでも、私のラテンの血は騒ぎ出す。わ〜い、あるある、いっぱいある。あっ、日本で買い損ねたESTOPA(スペインのグループ)のCDだ!こんなものまで置いてあるのかぁ・・・ 購入する私に店員さんがサンプルCDをくれる。スペインの曲が入ってる。うれしいなぁ〜、韓国って素敵 だ!

 楽しい時間はあっという間に過ぎていき、旅の終わりが近づいた頃、妹が言った。「スペインは素敵な国だったけど、どうしてもなじめなかった。」私も思う。「韓国はパワーがあって料理も最高!大好き!・・・でもここは私の場所じゃない。」

 同じ環境で育った私たち姉妹。西の果ての能天気な国、スペインをこよなく愛する姉と、お隣のホットな国、韓国を愛してやまない妹。なんだか不思議でとっても楽しい!

 

No.60
11月12日 Maki(横浜)

 早いもので、もう今年もあと1ヶ月半。昨年末のスペインのクリスマスや年末年始の盛り上がりが懐かしく思い出される中、早々とクリスマスカードの準備を始めた。それにしてもスペインから帰国した今年は、仕事のこと、将来のこと、家族のことなど色々と悩むことが非常に多く、また変化が多い年だった。特に、この秋は自分にとって大きな決心と転機の時期となった。

 帰国後、6月から始めたスペイン語を使う仕事を10月末で辞めた。契約条件や仕事内容のあまりの相違が一番の理由であるが、それでもせっかく“スペイン語を使える仕事”だしということで辞めるまでは迷った。悩みに悩んだ末、ちょうど10月いっぱいで契約満了なのできっぱりと辞めることにしたのだ。自分のやりたい目標とかけ離れているばかりか、上司とはウマが合わず、給料も悪く、なによりもその奇妙キテレツな会社状況が自分の精神的負担になってしまい、スペイン語を使うこと自体が苦痛になりかけていたからだ。

 将来的にやりたい仕事がようやく具体的になったので、12月から週末にそのための学校に通うことにした。時間もお金もかかるし勉強も大変な、まだまだ遠い道である。もちろんそれまでは平日働かねばならない。心配していた次の仕事も思いのほかスムーズに、スペイン語には関係ないがなかなか良い条件のテンポラリーワークが決った。仕事がスタートする11月20日まではつかの間の休暇である。

 時を同じくして、外国住まいだった姉が第2子出産のため10月末に帰国、このまま日本暮らしとなる。義兄の仕事と、日本での新居が決るまでは我が家に居候だ。身重の姉の代わりにやんちゃな姪っ子(1歳4ヶ月)のおもりをするうちに、私のつかの間の休暇は飛ぶように過ぎていく。先週は何日もかかって、姉と大掃除もした。姉も私も長年見て見ぬ振りをしてきた“禁断の間”と化している引出しや押入れを、これ以上ない程徹底的に掃除したのだ。こうした大掃除は誰かといっしょにやるのが良い。思い出にひたったり、捨てるのを迷った時に「それ、捨てなよ〜」と言いあえるからだ。とにかくすごい量のごみが出た。着ない服、古い文房具、使わない化粧品、大量の昔の手紙や写真。果ては姉が小学校時代にもらったラブレターだとか、私が昔憧れていた先輩の写真まで出てきて二人して大笑いである。お互いの新しい生活に向けて良い心機一転となった。

 それにしても、デストロイヤーの姪っ子のために落ち着いてパソコンもいじる暇がない。なにしろニコニコしながらPCに突進してきて、キーボードをジャカジャカ叩き、マウスを耳にあてて「もしもし〜」と始めてしまうのだ(電話じゃないのよ〜)。

 

No.59
11月5日 ナオミ(日本)

 つい先日、ようやくスペイン映画『パズル』(Nadie conoce a nadie)を観てきた。サービスデーにしか映画館に足を運ばないので、今回もそうだったのだけど、上映の途中で突然、映像が途切れてしまった。数分後には再開したので、たいして気にはしてなかったのだけど、上映後、今月中有効のチケットをくれた。サービスデーの客に、無料入場券を出すなんて、映画館のミスとはいえ、大変だなぁ...ありがたいけど。

 この『パズル』は昨年の東京国際映画祭で上映された。それが、ちょうど1年前の話。そして、昨日、今年の東京国際映画祭が閉幕した。今年はコンペティション部門へのスペイン映画の出品はなく、特別招待作品として、『アザーズ』(Los otros)が上映された。当初は、監督のアレハンドロ・アメナバル氏の来日が予定されていたのだけど、中止になってしまったらしい。スペインの監督や俳優が来日する機会が他にほとんどないだけに残念だと思う。

 1年前のこのコーナーにも映画祭のことを書いたのだけど、地方に住んでいるわたしは、映画祭に興味はあるものの、なかなか行く機会がなかった。しかし、今年は、東京国際映画祭協賛企画である東京国際ファンタスティック映画祭に出かけてみた。その目的はスペイン映画ではなくて、香港映画。
 久々の新幹線に緊張し、会場のある渋谷では迷子になり、やっとたどり着いた映画館では、その熱気に圧倒され、座席はなんと前から2列目(当日まで知らなかった)で、主演俳優の舞台挨拶に大興奮...と、そんなこんなで、1日だけ映画祭を満喫して、帰ってきた。

 映画を観るために、東京へ行くなんて...って言われたりもするけれど、前回上京したのは、香港映画のプレミア試写会だったし、その前はスペイン映画祭。次に上京する時もやっぱり映画がらみなのかな。(笑)

 

 

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