● テルエル、サラゴサ ●
テルエルといえば生ハム。ハモン・イベリコには負けるけれどなかなかどうして。甘みと塩味が程よく合わさった味は捨てたもんじゃない。もちろん腸詰め類も美味しい。ロンガニサにサルチチャ、モルシージャは米入りなんて面白いものがある。どれも香辛料が効いて味がしっかりしているから、そのまま炭火で焼くと最高に美味しい。この地でもやっぱり豚肉はよく食べる。北部山岳地帯ではコケタ。ハモン同様に豚のマタンサの産物の一つで、豚の血に香草を合わせてハンバーグのように丸めたものがコレ。かなりグロテスク。まさかホテルじゃあ見つからないだろう。お洒落して気取って食べるものでもなさそうだ。オヤジバールを探してみるとしよう。
北上しサラゴサに向かうと料理のバリエーションは広がる。この地方は別名“チリンドロンの地”。トマト、ピーマンや玉ねぎなどの野菜類と鶏、羊などを煮込んだ料理はそれぞれ、ポジョ・アル・チリンドロン、コルデロ・アル・チリンドロンと呼ばれている。コルデロ・ア・ラ・パストラは羊肉のクリーム煮、テルナスコ・アサドは肉が口の中でホロホロ崩れるくらいに柔らかい羊肉のオーブン煮、と羊料理にも恵まれる。
バールに潜り込む。目新しい物は・・・トゥロンチョンのチーズにマグラス・コン・トマテもある。おや?ピスト?いや違う。どうやらほぐしたバカラオをトマトやにんにくで煮込んだらしい。バカラオ・アホ・アリエロだって?確かラ・マンチャ地方のものはジャガイモが入っていてトマトは入ってなかったぞ?このアホ・アリエロとやらの歴史はちょっと探ってみる必要がありそうだ。そういえば隣のおじさんはさっきからカタツムリと格闘している。口先で頭の部分を引っ張り出して食べ、殻の中に残った汁をすする。これを延々繰り返す。たまにワインで口を濯ぎパンを一口食べ、またカタツムリを手にとる・・・。実は食べ終わるまで止められないのには理由があった。辛い!でも美味い!本当に食べ出すと止まらないのだ。カリニェナの赤ワインを潤滑油にしてどんどん喉から滑り込む。
野菜料理が恋しい人は食用あざみの茎、カルドに挑戦。煮込んで食べるのだけど見かけはまるでセロリのようだ。ただ注文する時は発音に気をつけなくてはいけない。L付きのカルドと言うとスープが出てきてしまう。エブロ川の周辺では新鮮な茄子料理もあったりする。この地方では白いんげんに混じって、斑模様や赤いんげんも見かけるだろう。
洋ナシやモモなど果物の赤ワイン煮はほんのりとシナモンの香りでデザートに美味しい。他にもビスコチョ、ロスコンなど、素朴なお菓子にも巡り合える。クリスマスシーズンにはローストしたアーモンドをまるごとカラメルで固めたトゥロン・デ・ギルラチェがある。砂糖を焦がした懐かしいほろ苦さが優しい気分にさせてくれる。
|