● 出 発 (マドリード) ●
マドリードに限らず、スペインでのお楽しみに、バール巡りがある。 夜10時頃以降にプラサ・マヨールの周りをぐるりと回ると、トルティージャやマッシュルーム専門のメソンがふと目にとまる。つい30分程前は灯りすら燈されてなかったのに既に超満員。 専門というだけあって、その他の料理は無いに等しい。 どの客もこれしか注文しない。 ワイン、ビールなど好みの飲み物を片手に語りあい、料理が無くなれば他の店へ移動する。日本の様にピカピカに磨かれた雰囲気はなくアンティークで、おまけに店の店員もアンティークときた。 ワイングラスはあっという間に空になる。 もちろん追加のオーダーは次のバール。夜風にあたっていると突然、ハモン博物館なるものが目の前に現れる。 圧巻。 ハモンがこれでもか! と言わんばかりに吊り下がっている。 催眠術にでもかかったかのように中に吸い込まれ、気が付くとやっぱりワインを片手にカウンターの人込みに紛れている。 時は止まり、何時の間にか翌日になってしまうのだ。
食後に甘いものを食べる習慣のあるこの国にはお菓子類も溢れている。 スペイン王室ではかつて立派な眉や髭をピンと張る為には砂糖を使い、シャツには糊付けの為に蜂蜜をつけたという話もあるが、食後には必ずチョコラテをお飲みになった国王など、代々かなりの甘党もおられたようだ。
その関係があるのかどうだか、スペインのお菓子は非常に甘みが強い。先ずこて始めにナティージャを試してみたい。 これはスペイン家庭で最もポピュラーなカスタードのデザートでレストランなどでは上にカラメルソースやシナモンパウダーがかかっている。 比較的あっさりしているのでこれなら食後のデザートに注文出来るかもしれない。その他にはスペイン風のフレンチトーストでも言うべきトリハスに加え、バルトリージョ(揚げパイ)、ブニュエロス・デ・ビエント(揚げドーナツ)、などの揚げ菓子も多く見られる。面白いものにレングアス・デ・ガトがある。 直訳すると「猫の舌」で他国でいうラング・ド・シャークッキーである。 どちらの猫が遥々国境を超えたのか夢を膨らますのもまた良いかもしれない。クリスマスシーズンには、キリストの骨を模ったといわれるウエソス・デ・サントというマサパン(アーモンドの練り菓子)も顔を現し、その他のクリスマス菓子と共にお腹だけでなく、目も十分満足させてくれるに違いない。
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*トルティージャ 丸く大きく焼いたスペインのオムレツ。具にジャガイモ、玉ね
ぎ、ほうれん草とバリエーションがあって面白い。
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*ハモン スペインの生ハム。スペインでハモンというと大体がハモン・セラノ
(生ハム)を指す。一度食べたら止められない。やみつきになること覚悟でどうぞ。
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*チョコラテ 現在の板チョコの原形、最近は単なるココアを出すところも多いが本
来はまさに溶かしたチョコレートでもったりと甘い。
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(↑)ナティージャ
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*バルトリージョ バターではなくラード仕立てのパイ生地にクリームを包み込んで
揚げたもの。食後のデザートには重い。
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*ブニュエロス・デ・ビエント カスタード入りの揚げドーナツ。生地は軽くシュ
ー生地に近いが表面にたっぷり砂糖が塗されていたりする。
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