日本とスペインの住宅差し押さえの違い




[スペイン探偵局に戻る]
Rui 2012/10/26(金) 15:49:56
最近、住宅ローンが払えなくなって、自宅を差し押さえられた人々のニュースをテレビで見ます。
主人と話していて、日本とスペインでは制度が違うかも、と思ったのですが、以下であっていますでしょうか?

1.日本の場合。
住宅ローン残金2000万円を残して払えなくなった。自宅は購入時は3000万円だったが、今は価値が下がってしまい売れない。
銀行が差し押さえをして、自宅は競売にかけられ1500万円で売れた。
この場合、自宅はなくなって、本人の借金は2000−1500=500万円残る。

2.スペインの場合。
住宅ローン残金2000万円を残して払えなくなった。自宅は購入時は3000万円だったが、今は価値が下がってしまい売れない。
銀行が自宅の差し押さえをした。
この場合、自宅はなくなって、本人の借金は2000万円残る。

このように理解したのですが、もしそうだったら、スペインって厳しいな、と思ったので。
ご存知の方がいらっしゃいましたら、教えていただければ幸いです。

ぽち 2012/10/26(金) 16:17:41
私も似てるんですが、便乗質問です。

1.日本では自己破産をしたら、残りの借金を払わなくて済む。クレジットカードが作れない、ローンが組めないなどの問題は出てくる。自宅はとられる。

2.スペインでは自己破産という仕組みはない。あっても残りの借金はまるまる残る。自宅はとられる。

このように理解したのですが、借金と家をもらった銀行の丸儲けではないですか?
それとも間違っているのでしょうか。

銀行が破産すると、日本の時のように大変なことになる、、銀行を助けなくてはいけないという発想でそれは理解できるのすが、個人がかわいそうですよね。しかも頭金なしで銀行がローンを気前よく許可していたことを考えると。
ご存知の方教えていただければ幸いです。

歩世 2012/10/26(金) 21:27:22
結論から申し上げると現時点においては上のお二方の御理解内容で正しいと言えるようです。

隣家に今は年金生活をしていますが、現役時代にはある信託銀行の支店長をしていた友人が住んでいます。
彼に本件について聞いたところ、次のように説明してくれました。

まず第一として、スペインには住宅ローン令という法律は存在しないと言っています。一般に言われているLey de Hipotecaとか
Ley de Hipotecariaというのは日本で言う政令で有って法令ではないとのことです。

本題に入ります。
2010年6月に国会で住宅ローン規定案の改定策が野党から提出されたのですが、銀行から突き上げを受けた当時の与党が反対して否決されたために、銀行は今でも、

民法第1911条 "Del cumplimiento de las obligaciones responde el deudor con todos sus bienes de presente y futuro (債務者は債務履行のためには現在および将来所有する総ての財産で応じる義務がある)を盾にし続けているのが実態だとのことです。

これに対して2011年9月25日にはスペイン主要41都市でこの民法を米国の住宅ローン法に添ったもの(住宅を差し押さえた時点で債務者は借金から解放される)に改正するように要求デモを行われたとのことです。

しかし前政府は残り任期が数カ月だったからか、全く取り上げずに終わったとのことです。

そして現政府においてもこのテーマは議題にも上がっていなさそうだと言っていました。

Rui 2012/10/26(金) 22:59:21
[[解決]]
歩世さん

詳しいご説明ありがとうございました。元支店長の方にも聞いていただき感謝です。
やはり、スペインの制度では、家も持って行かれたうえに、借金もまるまる残るんですね。銀行の丸儲けですね。
グラナダで差し押さえ寸前の人が自殺したり、他の地域でも差し押さえの際に近所の人も一丸となって抵抗するのも分かります。

日本では競売の前に任意売却という方法が取られると思うのですが、スペインこそ差し押さえの前に500万円でも1千万円でも
とにかく破格値でも住宅を売って借金の額を少なくするのが得策なのに、銀行はそれを勧めないんですかね。酷いです。

ぽちさんもご指摘されていますが、そんな銀行を、国民の血税で助けなければいけないなんてますますわかりません。

とにかく、私の疑問はすっきりしましたので、解決とさせていただきます。ありがとうございました。

解決済みですが 2012/10/27(土) 13:23:50
夫が弁護士で、日常的にこのような件を扱っているので聞いてみたところ、
スペインの場合、銀行が差し押さえて競売にかける。
でも現在の状況では誰も購入しない。
そこで銀行は資産価値を割り出し、実際の借金から割り出したパーセンテージ分を引いた残りの借金を負債者は払わなくてはいけない。
もちろん自宅は失いますが、借金も丸々残るというわけではないそうです。

解決済みさん、教えてください 2012/10/27(土) 14:02:16
解決済みですがさんに質問です。

こういうことですか?
例えば、20万ユーロの物件を16万ユーロのローンを組んで購買。10年後ローン支払いができず物件は競売、というか競売できないので査定したところ10万ユーロの価値。一方その時点で借金の元本は12万ユーロまで返済している。
その場合、物件の所有権は銀行に移り債務者には2万ユーロの借金が残る?
それだと実質借金は全く減額されてないことになるので、私の解釈が間違ってるのかなと思ってます。

御教示宜しくお願いします。

ピソ買いました 2012/10/27(土) 16:08:59
去年ピソを買いました。

スペイン人パートナーにローンの仕組みを再確認してみました。うまく説明できなそうなので、わかりやすい数字に置き換えて箇条書きにしてみます。

1.査定価格400,000ユーロのピソを320,000ユーロでローンを組んで購入。
(住宅バブル時は査定価格100%のローンを組めましたが、最近は80%)

2.ローン残高が300,000ユーロになった時点で返済不可能になった。

3.銀行がピソを差し押さえる。

4.ローン残高の300,000ユーロの60%にあたる180,000ユーロを銀行に返済しなければならない。

つまり、家を取り上げられて、更にローン残高60%の返済義務があるということです。

この60%というのは、ピソ購入時のローン額が基準です。

ちなみに以前は50%だったそうですが、15M集会デモをきっかけにサパテロ政権の時に60%にしたそうです。たった10%ですが、ピソ購入額が大きければ10%でも馬鹿にできないですね。

住宅バブル崩壊後の現在での問題点は下記のとおり。

1.査定価格400,000ユーロだったピソが200,000ユーロまで下がった。
2.ローン残高300,000ユーロ時点で返済不可能となる。

結果
A)現在の査定価格200,000ユーロでピソを売る→100,000ユーロの損
B)ピソ売れず、銀行差し押さえ&借金残高180,000ユーロ(300,000×60%)

A)のようにうまく売れれば100,000ユーロの損で済みますが、最近は簡単にピソが売れないですよね。で、結果的にB)のように家をとられて、ローン残高×60%の返済義務が残る場合が多いということらしいです。

なお、上記の計算にはローンの利息とかピソ購入に関する税金とか含まれていませんので、実際の損失はもう少し大きくなると思います。

ピソ買いました 2012/10/27(土) 16:52:40
>1.査定価格400,000ユーロのピソを320,000ユーロでローンを組んで購入。
(住宅バブル時は査定価格100%のローンを組めましたが、最近は80%)

ローン320,000、個人負担(貯金など)80,000で査定価格と同じく400,000ユーロの物件という意味です。

解決済みですが 2012/10/27(土) 16:56:01
解決済みさん、教えてください様

査定の部分にて私の解釈が間違っているまま書き込みしてしまいました。
かえって混乱させてしまい申し訳ありません。

ピソ買いました様が上記にて説明してくださっているのが正解のようです。

Rui 2012/10/27(土) 20:07:43
こんにちは。トピ主です。
解決済みですがさん、ピソ買いましたさん
弁護士さんを通じての交渉、具体的な数字での情報を教えていただきありがとうございました。

一つ質問があります。

>つまり、家を取り上げられて、更にローン残高60%の返済義務があるということです。
>この60%というのは、ピソ購入時のローン額が基準です。

これは具体的な法律があるのでしょうか?もしくは、弁護士と銀行の交渉の中で成立している慣習のようなものでしょうか?
サパテロ政権の時に変更になったということは、法律か政令の中に明記されているような気がするのですが、もし法律の名前など
分かりましたら教えていただければ幸いです。

といいますのも、この60%という額が、弁護士を雇って銀行と交渉した結果はじめて適用される数字なら、
何も知らずに、弁護士を雇うこともなく差し押さえを受けた人が、ローン残高100%の借金を丸々背負わされていることはあるんだろうかと思ったのです。

テレビで、自宅を差し押さえられた人がインタビューを受けていて、「まだ160000ユーロも借金が残ってる」という
コメントを聞きました。こういう人は、弁護士を通じて銀行と交渉すれば、額が60%に抑えられたのか。
もしくは法律によって、必ず60%のみの借金を背負わされて、この額なのか、と思いまして。
もしご存知であれば、教えていただければ幸いです。

ピソ買いました 2012/10/27(土) 22:25:29
Ruiさん

パートナーに再確認しました。
具体的な法律だそうです。詳しい内容は下記のBOEをご参照に…、といってもBOEって恐ろしく長くて読みにくいので、私は読んでいません…(汗)。

http://www.boe.es/boe/dias/2011/07/07/pdfs/BOE-A-2011-11641.pdf

あとは、Ley de Hipotecaとかで検索すればもっと簡潔なページが見つかるかもしれません。

銀行側が住宅差し押さえて、なおかつ100%丸まるのローン残高を無知な顧客(私もローンに関してはそうでした)に要求することはありえないと思います。それをやってしまったら法律を犯す、つまり犯罪ですよね。

>テレビで、自宅を差し押さえられた人がインタビューを受けていて、「まだ160000ユーロも借金が残ってる」というコメントを聞きました。

これは、ローンが払えなくなって家をとられて、尚且つローン残高の60%を払わされている状況だと思いますが、一番の問題点はローンが払えなくなったのはなぜかということ、つまり大きなの要因は失業してしまったからだ思います。

住宅購入時(バブル期と想定します)は貯金はなくても収入はあった。当時は銀行も査定金額の100%を貸してくれた(簡単にローンを組ませた銀行)。だったら貯金ゼロでもなんとか家が買える。ローン返済は家賃を払うのと一緒。

で、バブル崩壊、大不況。思いがけない失業でローン返済不可能、家をとられて尚且つローンの一部は残る。仕事がないのにどーやって払えるのか。

全ての人々が同じ状況ではないと思いますが、ざっとこんな感じなのかなと思います。

経済や金融の専門家ではないので細かいことは分かりませんが、アメリカのように家を差し押さえたらローンはチャラとなる法律に改正して欲しいです。

今のままでは債務者にとってあまりにも悲惨な状況です。借りたものは返すのは当ですが、簡単に貸し出した銀行やそれを許した政府は今となって知らんぷりとはいかないですよね…。

MAC 2012/10/29(月) 00:23:27
いま、政府とECBのおじいさん達が、S国銀行に異常な資金を供給中です。
これが起こると、
1、銀行経営者株主の責任追及。
2、合併、統合
3、債務者への特別処置
という、平時ではありえない事態になります。
かってのにほんでもそうでした。

Rui 2012/10/29(月) 13:15:40
ピソ買いましたさん

BOEのリンクを、ありがとうございました。該当箇所拝見しました。
ただ競売についての記述だったので??っと思って調べましたところ、El Paisの以下のリンクで差し押さえについて説明している記事がありました。
http://sociedad.elpais.com/sociedad/2012/06/18/vidayartes/1340048194_301079.html

長い記事なので斜め読みしかしなかったのですが、これを見る限り、60%は、返済義務の額ではなく、ローン残高から差し引ける額のようです。
以下、ちょっとクドい説明ですが、今後の参考として、記しておきます。

1.差し押さえを行った物件を競売にかける。競売の最低落札価格は、査定価格の50%を超える額でなければならない。
   (これは、Ley de Enjuiciamiento civil〜民事手続法?〜の規定にあるとおりらしいです)
2.もし、競売に誰も入札者がいなかった場合、物件を競売にかけた人(つまり銀行)が、査定額の60%を超える価格で自分のものにできる。
3.債務者は、ローン残高から、競売の価格を差し引いた額を、返済しなければならない。

ということのようです。
つまり、ピソ買いましたさんの「査定価格400,000ユーロのピソを320,000ユーロでローンを組んで購入…」と同じ例で考えますと、

競売にかける際に誰も入札者がいなかった場合は、査定価格の60パーセントを超える額、つまり240,001ユーロで、銀行が物件を自分のものにでき、
債務者は、さらに、その額をローン残高から引いた額 300,000−240,001=59,999(約60,000)ユーロの返済をしなければならない、ということのようです。

サパテロ政権時代の、50%から60%への変更は、債務者側にとっては改善策だったわけですが、
上のEl Paisの記事で問題になっているのは、銀行が裏技を使うことで、この変更さえも、無意味なことにしてるらしいです。

具体的には、「査定額の60%を超える価格」というのは、「誰も入札者がいなかった場合」なので、
銀行側は子会社を使って、わざと異様に低い金額で入札させて、それに対して銀行がちょうど50%を超える価格で入札して終わりにすることで、
債務者には以前と同じ、査定額の50%をローン残高から引いている、ということです。
上の例だと、債務者は、家を取られた上に、以前と変わらず、査定額の50%を引いた額、300,000−200,001=99,999(約100,000)ユーロの返済をしなければならないわけです。


数字がたくさん出てきて、ちょっと混乱していますが、日本もスペインも、住宅を取られても借金が残る制度ということに変わりはない、ということが分かりました。
いずれにせよ、住む場所を取られたのになおかつ、借金が残るというのは、本当に厳しいことなので、

>アメリカのように家を差し押さえたらローンはチャラとなる法律に改正して欲しいです。

全くそのとおりだと思います。

ピソ買いました 2012/10/29(月) 15:36:29
Ruiさん

詳しいご説明ありがとうございます!その計算方法が正しいですね。

私の一番初めの投稿内容の「ローン残高60%が返済義務となる」というのは間違っています。トピをご覧になった皆様すみません…。

パートナーに再々確認したところ、はじめからRuiさんと同じ計算方法を私に教えたとのこと。要は私が間違った解釈のまま投稿してしまいました。

いずれにせよ、Ruiさんのトピのおかげで私もきちんとローンの仕組みに対する意識を持つことができました。今まで細かいことはパートナー任せでしたから…(汗)。

それにしても、銀行の裏技ってひどいですね…。


追加発言は締め切られました。
WwwLounge Ver2.16

e-mail address: info@arrobaspain.com
Copyright (c) 2000-2022 @Spain all rights reserved.

@Spainのトップに戻る